愛知県の高校比較 失敗しない受験校選びのために(その3) (2010.9.26.)更新


・名古屋市外の公立高校の台頭

 次に名古屋市内と尾張地区を見てみましょう。これらは三河地区とは違います。千種、菊里、中村、瑞陵、桜台などが名大合格者を減らしています。では、他の名古屋市内の公立高校の合格者がその分増えているかというと、そうでもありません。一宮高校と一宮西高校が増やしていますが、千種、菊里、中村、瑞陵、桜台の減少分ほどではないのです。では、それがどこにあるかというと尾張地区にあります。学校群時代に群に属していなかった高校が名大合格者を伸ばしているのです。

 下のグラフは最近2年の名大合格者数のベスト25です。前回(2010年度)の多い順にグラフ化してあります(25校のうち愛知県内の高校が19校を占めており、名古屋大学が地元生だらけなのをよく表しています)。刈谷、一宮、東海、岡崎、旭丘、明和、菊里、半田、と伝統校が上位を占めています。また、東海と滝以外は全部公立高校です。注目すべきなのは、学校群時代に群に属していなかった五条高校、西春高校です。とくに西春高校は名大合格者数を大きく伸ばしていて12位に入っています。

 

 

 ここまでをまとめます。名大合格者数をもとに考察すると、学校群時代とくらべて、三河地区では成績最上位層は岡崎高校、時習館高校、刈谷高校などの伝統校に集中するようになり、一方の尾張地区では名古屋市内の公立進学校のいくつかがレベルダウンして、名古屋市外の学校群に属していなかった公立高校の伸びが目立つということです。名古屋市外の成績最上位層が市内の高校より地元公立高校を志向するようになったといえるかも知れません。 

 

・私立高校(特別進学クラス)の台頭?

 私立高校の中には、進学指導に力を入れるいわゆる「特進コース」を設置して「塾・予備校いらず」をアピールしているところがいくつもあります。このような特進コースの合格実績はどうでしょうか。上の名古屋大学ベスト25にはそのような高校が出てこないので、対象を名古屋大学から広げてみることにします。"超難関"国立大学の合格者数を比較してみましょう。 

 "超難関"国立大学としては、7つの旧帝国大学(北海道大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学)と東京外国語大学・一橋大学・東京工業大学の最難関単科大学に国公立大学医学・部医学科とするのが一般的ですが、東北大学・九州大学・国公立大学医学部・医学科については全高校のデータを集計できなかったので下記大学の合格者数をグラフ化してあります。

 名古屋市内の公立伝統高校、おもな私立進学高校、尾張の公立進学高校、三河の公立(伝統)高校の4つのグループごとに並べたのが下のグラフです。2010、2009,2008年の3年を分けてグラフ化してあります。

 

東京大学、京都大学、東京外国語大学、一橋大学、東京工業大学、大阪大学、名古屋大学、北海道大学の合格者数(現役+浪人)

 

私立校では、伝統的な進学校である東海、滝、南山が他の私立高校を圧倒しています。また、この私立3校以外では、公立高校が圧倒的です。

ただ、高校ごとに名古屋大学の占める比率は異なります。一宮西、西春、五条の3校はほとんが名古屋大学であり、他大学がたいへん少なくなっていて、いわゆる「名大シフト」が起こっているようです。それとは対照的に、公立伝統校である旭丘、明和、東海、岡崎、刈谷、時習館では、実にバラエティに富んだ進学先であり、東大合格者も多くいます。この傾向は、私立伝統校である東海、滝、南山も同じです。このように、地元の名古屋大学にこだわるか外を志向するか、高校によってずいぶん校風(指導??)が異なることが垣間見えるのです。 

 


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